Angelic Heart 【教師×生徒の恋バナ第二弾】
「余合さん、残念ですが…私は蒼先生ではありません。」



坂下の声が雷鳴とともに響き、梨香に正体をバラす。



バラしたすぐ後に



「こっちは、騙されませんでしたよ。」



なんて言いながら、蒼は暗幕を開けた。



ヤダ、私まだ泣きやんでないのに…。



そう思いながら俯くと、坂下が私のもとに駆け寄ってきた。



「少し、奥へ行きましょうか。」



お客さんの相手を蒼や梨香に頼んだ坂下は、私の手をとって暗幕の奥へ連れて行ってくれた。



坂下は教室の窓際に座り込むと、暗幕を少しだけずらして窓を細く開けた。



私たちの周囲にだけ、光と風を取り入れた。



坂下の隣に座ると、坂下は私の頬に伝う涙を拭ってくれた。



「暗闇で羽交い締めにされて、怖かったですか?

昨日の様子から大丈夫だと判断したのですが、昔のことを思い出させてしまったのであれば…申し訳ないことをしました。」



違うよ、私…コワくて泣いたんじゃないよ。



私は、首を横に振った。



せっかく坂下が拭ってくれたというのに、涙が溢れてくる。



後から、後から、ポロポロと…。









 
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