Angelic Heart 【教師×生徒の恋バナ第二弾】
その声に振り向くと、黒いトレンチコートを着た坂下がいた。



状況を把握できていない私が立ち上がると、坂下は私の目から溢れる涙を拭いながら尋ねた。



「何か、あったのですか?」



「先生いないし…。

病室、すっごくキレイだし…。

私が日本にいない間に、何かあったんじゃないかって…。

心配したんだからっ、先生のばかぁっ!」



私は、坂下の胸に縋りついた。



「一時帰宅をしていただけです。」



坂下は私の身体を引き離し、頭をひと撫でする。



そして、病室のドアを開けて中に入っていった。



数歩したところで振り向き、ドアの前に立っていた私に声をかけた。



「入らないのですか?」



「だって、もう来るなって言われてたのに…。」



「言ったところで、聞かないでしょう?あなたは…。」



ホントに、いい…の?



中に入ってドアを閉めると、坂下はコートやジャケットを脱いでハンガーにかける。



ノーネクタイの坂下を見る機会なんて、そう簡単には無い。



この人には無駄な肉なんてないんだ…なんて感心しながら、坂下を見つめる。



Yシャツを脱いで、ベルトに手をかけたところで気が付いた。



着替える気なんだ…って、いうことに。



「ちょっと、ヤダっ…着替えるんなら言ってよね!

私、部屋に飾るお花買ってくるっ!」



私は花瓶を掴むと、病室を飛び出した。



あ…。



花買いに行くのに、花瓶は要らないじゃない…。









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