Angelic Heart 【教師×生徒の恋バナ第二弾】
「アンジェ、本当はあなたに自分の想いを伝えるつもりでここに来ました。」



「じゃあ、ちゃんと言ってよ…。」



私の言葉に、坂下は横に首を振った。



「ここに来ている恋人たちを見て、あなたには死を待つだけの私では不釣り合いだと感じました。」



坂下は左手を私の前に差し出すと、続けて言った。



「展望台に行きましょう。

そして帰りは、お望み通りずっと手を繋ぎましょうか。」



「その後は…?

先生のことだから、もう病院来るなって言うんでしょ?」



「当然です、お互い顔を合わせたら辛いだけでしょう?」



「だったら…私は、その手を取れない。

私は好きなら好きだと言って欲しいし、一緒に鐘鳴らしたいし、この南京錠に願掛けしたいの。」



私は、坂下の手のひらに南京錠を乗せた。



坂下はしばらく手のひらを見つめると、口を開いた。



「分かりました、あなたの望み通りに…。

ところで、願掛けはどのようにしたら宜しいのでしょうか?」



「名前を書いて、錠をかけるの。」



私はそう言いながら、坂下にペンを渡した。



先に坂下がフルネームで名前を書いて、私に渡す。



さすが書道部の顧問をしていただけあって、スゴく字が綺麗だ。



私は少し丸っこい字で名前を書き、2人で錠をかけた。











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