Angelic Heart 【教師×生徒の恋バナ第二弾】
展望台近くまで走ったけれど、坂下に会うことはなかった。



呆れて帰っちゃった?それとも…、私のこと探してくれてる?



私は、2人で鳴らした鐘の方に向かって走る。



龍恋の鐘に辿り着いたけれど、そこにも坂下の姿はなかった。



走り疲れたけれど、坂下を見つけるまでは…。



息を整え、また走り出した。



江ノ島じゅうを走って探したけれど、見つからない…。



坂下と別れてからかなり時間経ってるし、冬は夜が長いから、もう陽は傾いてきている。



もう、帰ったよね…。



そう考えたら、涙が溢れてきた。



泣きながら歩いていると、辺津宮に着いた。



周りはカップルばかりで、1人でここにいる私は惨めだ。



だけど、坂下と仲直りしたい。



私は結びの絵馬を買い、願掛けした。



絵馬を吊そうとしたとき、ふと隣の絵馬が私の視界に入った。



その絵馬から視線が離せなかったのは、坂下が書いたものだったから…。



坂下の願いは…



『アンジェリーナの幸せ』。



坂下らしいな…、そう思った。



やはり坂下のことだから、私から身を退く気でいるのかな?



私は坂下の絵馬を外すと、辺津宮を後にした。



明日、謝りに行こう…。



そう考えながら、駅に続く1本道をトボトボ歩く。



道の中程に、人影が見えた。



その人影が誰なのか分かるのに、そう時間は要しなかった。



私は、その人影に向かって駆けていった。












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