Angelic Heart 【教師×生徒の恋バナ第二弾】

「先生っ！」



ケータイを手に俯いていた坂下が、顔を上げた。



私は、坂下の胸に飛び込むと



「ごめんなさい…。

もう、あんなこと言わないから…。」



通りすがりの人たちの目を気にすることもせず、泣きじゃくった。



私はバカだ。



自分だけがツライなんて、悲劇のヒロインぶって…。



近い未来、私を置いて逝かなければならない坂下の気持ちを考えてあげなかった。



坂下の腕が、私の背中に回された。



顔を上げると、坂下が泣きそうな顔して言った。



「アンジェ、無事で良かった…。

携帯が繋がらなかったので、心配しました。」



「電池切れだったの、ケータイ。」



涙声で、私は言った。



坂下は回した手で、しばらく背中を撫でてくれた。



「そろそろ、泣き止みませんか？」



そう言われたって、涙はすぐに止まらない。



坂下は周りを見回すと、近くに人がいないことを確認してから、私の頬にキスをした。



坂下の唇が、上がってきた。



あ…、私の涙を唇で拭ってくれているんだ。



そんなことされたら、キス欲しさにもっと泣いちゃうよ？



だけど、私の口からは気持ちとは裏腹に、くすっ…と笑い声が漏れた。