Angelic Heart 【教師×生徒の恋バナ第二弾】
坂下は便箋を手にしたまま、ゴムを拾い上げる。



その時、便箋に書かれた内容が見えた。



『以前、僕にヤブヘビという言葉を知ってるか聞いたことありましたよね?
あの時の仕返し、させていただきます。

“据え膳食わぬは男の恥”

当然、ご存じでいらっしゃいますよね?』



「毒を食らわば皿まで…と、蒼先生は私を焚きつけるつもりのようですね。」



坂下は手にしたものを眺めながら言う。



私は坂下の手からコートを取った。



「コート、ハンガーにかけとくね。」



「ええ。」



それって、泊まってくって考えても…いいの?



坂下の背中を、蒼が押してくれたみたい。



コートをかけ終わった瞬間、後ろから坂下に抱きしめられた。



「覚悟はできていると、判断してもよろしいですか?」



私は頷いてから、口を開いた。



「あのさ…ゴム、使わなくて良いよ。

私…先生との子供、欲しいくらいだもん。」



坂下がいなくなるのなら、せめて子供だけでも…。



育てるのは大変だけど、1人置いてかれるよりはマシ。



私の言葉を聞いた坂下は、少し厳しい表情をした。



「これを使わずに、あなたを抱くわけにはいきません。

私が物心ついた頃には、既に父親がいなくて淋しい思いをしたというのもあるのでしょう。

子供には父親も必要だと、私は思っています。」



坂下の心が奥さんから離れたのがいつなのかは分からないけど、それでもすぐに別れなかったのは子供がいたから…なんだろうな。



「そろそろ、ベッドに向かいましょうか?」



坂下が、私の手を取って言ってくれた。



「ワガママ、言っても良い?」



「避妊しないというのは、聞きません。」



「そうじゃ、ないよ。

あのね、お姫サマ抱っ…。」



言い終わらないうちに、私の身体が宙に浮いた。














 



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