Angelic Heart 【教師×生徒の恋バナ第二弾】

救出 【蒼目線】

剣道部の合宿から戻った翌々日、坂下先生に学校まで呼び出された。



合宿中に梨香が嫌がらせを受け、処分をした女子部員らのことで不備でもあったのだろうか？



そう思いながら、教員用の駐車場に車を停めると、坂下先生が僕の車に近づいた。



「今から向かいたい場所がありますので、蒼先生の車に乗せてください。」



「僕、坂下先生の車に乗ってみたいんですけど。」



坂下先生の車は、黒のスポーツ…いや、スーパーカーと呼ぶに相応しい代物。



どう考えても教師の収入では買えないから、競馬で稼いだというのは本当なのだろう。



僕も、生徒が遊び…もとい家捜しに来た時に見つかったヴァイオリンの本当の価値がバレたら、どうやって手に入れたか責められそうだけど…。



幸い、現物を見た連中に目利きはいなかった。



僕の場合は、与えられたものを１人暮らしする際に持ち出しただけだけど…、戻る気もない家のことは探られたくない。



「私の車は二人乗りですし、目立ちすぎます。」



「他に誰か乗せるとでも？」



「ええ、その予定です。」



坂下先生の指示通りに車を走らせていくと、あるアパートのそばで停まるよう指示された。



ここは、アンジェの家だったはず…だよな？



「家庭訪問です。」



坂下先生は車を降りると、僕にもついて来るようにと言う。



坂下先生は、玄関のそばにあったプランターをずらして鍵を見つけると、玄関を開けた。



「な、何やってるんですか！」



それって、不法侵入…。



「嫌っ、やめてー！」



アンジェの、声がした。