Angelic Heart 【教師×生徒の恋バナ第二弾】
坂下の言葉を聞き取った私は、その願いを叶えてあげる。



周りに人がいるけど、気にしない…ことにした。



坂下の唇に、自分のそれを重ねる。



こんな時にまでキスをねだるなんて、坂下はホントにキス魔だ。



そんな私たちの様子を見てた蒼が、ぽつりと呟いた。



「末期の水より、末期のキスか…。」



蒼の奴、なかなか上手いこと言うな…。



そう思いながら、深く…深くキスする。



しばらくは私のキスに応えてた坂下が、もう応えなくなった。



意識が、なくなったようだ。



坂下から唇を離し、顔を見つめる。



すぐに、私の肩に手がかかった。



その手に視線を移すと、院長だった。



おそらく、退けという意味なのだろう。



坂下のそばから離れ、蒼の隣に立つ。



私は、坂下の意識が戻ることを祈りながら、医師たちの様子を眺めた。



だけど、無情にも…。



坂下の脈がなくなったことを知らせる機械音が、部屋に響いた。



坂下の元へ駆け寄ろうとしたら、蒼に止められた。



振り切ろうとしても、蒼の力が強くて無理だった。



院長は坂下の瞳孔を確認すると…。



ベッドに横たわる坂下に、深々と頭を下げた。









< 220 / 243 >

この作品をシェア

pagetop