Angelic Heart 【教師×生徒の恋バナ第二弾】
臨終 【蒼目線】
嫌な機械音が鳴り響いたとき、アンジェが坂下先生の元に駆け寄ろうとした。



医師たちの邪魔になってはいけないと、僕は両手で彼女の腕と肩を捕まえる。



院長が坂下先生に対し深々と一礼したのを見て、僕はアンジェから手を放した。



「和さんっ!」



アンジェが坂下先生に駆け寄るのと入れ違うように、唇を噛みしめた院長がその場を離れた。



いくら友人だとはいえ、医者がこの場で感情を露わにできないのだろう。



ましてや彼は院長だ、他の医師たちの手前もある。



ドアの前ですれ違った時に、院長の目の端に光るものを見た僕は、彼を目で追った。



部屋を出た院長は、廊下に集まっていた友人たちから労いの言葉をかけられていた。



坂下先生や院長は、良い友人を持ったな…。



「和さん、目を覚ましてよ!」



耳をつん裂くようなアンジェの悲痛な叫びに、室内へと目を転じた。



「私を置いて行かないで!

ひとりにしないで!!」



アンジェが、横たわる坂下先生を揺り動かしていた。



なぁ、アンジェ。



そんなに泣き叫ばれたら、坂下先生が心配して向こうに行けなくなるだろ?



「嫌っ!いやあぁっ!!」



坂下先生に縋りつくアンジェを見て、遠い未来には僕と梨香にも起こることなんだろうと思った。



だけど、梨香にあんな思いはさせたくないな…。



僕はアンジェの頭を撫で、坂下先生から離れるよう促した。









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