飴と道楽短編集
「ねぇ、思い出したんだけど俺昨日スーパーでいいもん見たよ」

「は?おまえスーパーなんか行くの?」

「管原は行かないの?」
「行かん」

「どうやって生活してるの…」

「棗の差し入れと施設の備品くすねて生きてる」

「あ、ここのトイレットペーパーストックごっそり無くなった事件もしかして」

「シッ!あれから加減して捕るようにしてる」

「結局捕ってるわけね」

「後ココ……ココだけがっ」
管原は妙な体勢で鏡を睨む。

「震えてるよピンセット」
「いい加減手が疲れてきた。てか腕が疲れてきた」

「上腕二頭筋鍛えられるね」

「そぉかぁ?…ん?でなんだっけ?スーパーが」

「ああ、なんか生活用品の特価で広告が立ってたんだ」

「どんな」

「鼻毛バリカン」


「鼻毛バリカン?」


「うん。でかでかと旗立ってた」

「何それ、どんなヤツよ…」

管原は作業を止めて変な顔をした。


「さぁ」

「さぁて」



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