逆境の桜
最終章
逆境の桜
あれから5ヶ月後の4月。
桜がハラハラと舞う今日は八重の生まれた日。
「八重が亡くなってからもう5ヶ月か........。」
「早いもんだな....」
「ところで、何故今日は桜の墓でなくここに集まったんだ?」
「さあな。稔磨と春は知っているみたいだがな........」
「........桜........私は守ったよ........。」
あの日、八重が稔磨に伝えた春への伝言とはこうだった。
『春、私の生まれた日に皆を屋敷の庭に桜餅を用意して集めて。皆に........会いにいく』
「桜........来てくれよ........。」
その時、枯れていた筈の桜の木が淡い桃色の光を放った。