逆境の桜
西郷に連れられ私は黒谷金戒光明寺へ訪れた。
そして目の前には松平容保公。
私の心の臓の速さは異常な程速かった。
西郷は松平公と話をしていた。
するといきなり松平公が私に目を向けた。
「お前、何者だ。」
西郷さんに視線を向けると頷かれた。
私は大きく息を吸うと松平容保の目をしっかり見て口を開いた。
「私は長州藩主の松村さくらです。」
部屋の空気に亀裂が入ったのが分かった。
「何故....お前のような者がここにいる。そして藩主にもかかわらず何故刀を持っていない!」
「今宵は松平殿と話をしに来ました。刀を持っていないのは追い出されないためです。私は命掛けでここまで来たのです。」