逆境の桜
「ハァ....。あのな?俺はお前にはピストルを使ってもらいたくないんだ。それと、坂本さんは薩長同盟の仲立ちをした人だ。いつ壬生浪士狼や見回り組に襲われてもおかしくないんだ。」
そうだ。
佐幕派から考えたら薩長同盟の仲立ちを行った坂本さんが邪魔なんだ。
「あと....桜、お前はしばらく俺に近づくな。」
「え?」
私はこの時、何を言われたのか分からなかった。
いや、分かりたくなかった。
「何で!?何でそんな事言うの!?私何かした?ピストルの事?だったらピストルはもういいよ!」
「違う!ピストルは関係無い!俺、お前といるの疲れたんだよ。ガキの頃から恋仲でもないのにベタベタくっついてきて。」
「....んな....に....ってたの?ずっと....そんな風に....思ってたの!?酷いよ晋作!仲間だと思ってたのに!晋作なんて大っ嫌い!」
私は泣きながら宿を飛び出した。
晋作から離れたかった。
晋作とは小さい頃からずっと一緒だった。
晋作、いっつも優しくて、よく甘味処に連れていってくれて、よく一緒に小五郎に悪戯して............
あれ?
私、晋作が好きだったんだ。
ふふふ。
嫌われてから気づくなんてバカだね。
ほんと....バカだよ....。
外は雨が降っていた。
桜は雨に濡れながら、大声で泣いていた。