逆境の桜
怒りに震える晋作が落ち着くのを確認すると
ゆっくり口を開いた。
「昔にね、兄と約束をしたの。会津と長州で同盟を組もうと。約束を果たすには今がちょうどいい。だから私は今日ここを出ていくことにしたんだよ。」
「だからって........」
「晋作、私は大丈夫!壬生浪達に殺られそうになったら返り討ちにしてやるから!」
ニコッと笑ってみたが晋作はまだ渋い顔をしている。
「桜?もしも京に行ったら私達とは暫く会えないのよ?それでもいいの?」
「え?」
春の意外な質問に少し戸惑ったものの私の答えは決まっていた。
「本当なら行きたくないよ。わざわざ敵の住処なんて。でもね、私は約束したら絶対に守る。誰になんと言われてもね。」
「分かったわ。でも桜のいない間は誰が長州を守るの?」