逆境の桜
屯所に戻り、部屋で一人悩んでいた。
坂本さんの言っている事は正しい。
分かっているけど、私はどうしても松平が許せない。
会津が許せない。
「....母として認めてないか....自分で言ったくせに........。」
そう呟くと襖が開いた。
「お前....帰ってきたのか。」
「只今。土方は夕餉?」
「そうだ。」
「............私、会津に騙されていたみたいです。」
「............。」
「兄も....辻斬りになんかあってなくて....松平に殺されたみたいで........。」
「............。」
「私、本当に馬鹿だよね。騙されてた事に全然気づかなくてさ........これで日本を変えられるって思ってたのに....。新選組も....私のせいで襲撃されたみたいで........私のせいで....ほんと....馬鹿だよね........。」
「............。」
「....戦....始めようと思う....。」
「....っ....!」
「会津だけは....絶対に許さない。」
「お前本当に馬鹿だな。」
ずっと黙っていた土方はいきなり口を開いた。
「自分の復讐の為だけに戦をするってか?馬鹿を通り越してアホだな。戦でどれだけの命がなくなると思ってんだよ。会津だけじゃなくな、味方だって沢山死ぬんだよ。てめえはそれを分って言ってんのか?」