友人
キャンプに行ったのは、数えきれなかった。
最初は、週末を利用しての身近なキャンプだったのが四国に渡り東京まで原チャリで何日もかけて行ったのだ。
高校二年までだった。
僕らは、学校で良いコンビと言われていた。
生意気な先輩のグループの家の二階に急襲をかけて無茶苦茶にしてやった時は、帰りに僕がスニーカーを無くして二人で夜中に探した。
「またキャンプってのいいなあ。中年二人で持ち物は最低限でな。」
彼は、楽しげに笑った。
もみ上げの辺りに白いものが混じり始めてるのに気付いた。
僕も人の事は言えないが、彼の表情が時折老人のように疲れて見える。
「そうだな。キャンプいいな。キャンプ行こう。」
叶わないかも知れないが、いいじゃないかと思う。
彼は、高校二年で辞めて今の世界に入ったが、付き合いは続いていた。
時折電話して来ていたし今回の事は彼の母親に聞いていた。
新聞に載ったので知っていたのだが、僕は彼の母親に知らないふりをした。
彼は、自首するしかないのだろう。