桐の花
静かに走り出す車。


この車一つとっても笹川家がいかにお金持ちかが分かる。


「向こうで真一様がお待ちですよ。」


そう木下が言うと雛子はぽっと頬を染めた。


「私も…真一様にお会いするのが楽しみです…。」


それきり雛子は黙って車の窓から過ぎ行く風景を眺めていた。


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