だから私は雨の日が好き。【冬の章】※加筆修正版
幻想...ゲンソウ
暗い部屋の中で一人ぼんやりしていた。
今日は湊が会社の飲み会なので、一人で自分の部屋にいる。
もうすぐ二十四時。
今日も終わる。
喧嘩をした次の日に飲みに出かけるなんてイイ根性してる、と思う反面。
そんな風に出かけてしまっても平気なほど、湊を信用している私もいる。
昨日散々言いたいことを言って、泣き喚いて当り散らした。
子供のような私のことを『大丈夫』といつも受け止めてしまう湊。
何をそんなに当り散らしていたのだろうと、今は顔から火が出るほど恥ずかしい。
けれど、昨日の私にとっては大問題だったのだ。
それを一瞬で穏やかにしてくれる湊。
湊が隣にいない今この瞬間も大切なのだ、と教えてくれる人。
なんて幸せだろう、と想った。
一人で見る景色は誰かの存在を際立たせる。
一緒にいなくても一緒にいられる人がいる。
恥ずかしい程の想いをぶつけられる場所があることを。
今は、とても幸せに想っていた。
外の空気を受け止めたくて、窓をそっと開ける。
隙間から入り込んでくる空気に混ざって、花びらのように雪が舞い込んできた。