だから私は雨の日が好き。【冬の章】※加筆修正版





「ねぇ、今日の飲み会、来てよかったでしょ?」


「ほんとに。まさか山本君が来てくれるなんて思わなかったよ」


「いつも付き合い悪いからね。システムの男の子に必死にお願いしたんだもん、来てくれなきゃ困るよ!」




二人の会話を何気なく聞き流していた。

どうやらお目当ての男性社員が飲み会に来てくれた、とはしゃいでいるようだった。


社会人になってもそんなことを思うんだなと、その二人がとても可愛く思えた。




「こんな機会でもないと近づけないから、酔ったフリして送ってもらおうかな」


「そんなに?なんか憧れ程度なのかと思ってたのに、意外と本気だったりするの?」


「まぁね。さっきもどさくさに紛れて腕組んじゃったし。名前呼べるくらいにはなりたいよね」




そんな会話を聞きながら身支度を整える。

少しも顔色が変わってない自分を見て、やっぱりお酒が強いんだな、と確信していた。


彼女達の言っている「酔ったフリ」なんてものは、私には使えそうもないな、と考えていた。




「あれ、山本君の下の名前ってなんだっけ?」


「知らないの?名前まで素敵なんだよ。『ミナト』っていうの。しかも漢字一文字で」




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