だから私は雨の日が好き。【冬の章】※加筆修正版
「ただ、湊に触りたかっただけに決まってるじゃない!自覚してよ!自分がモテるって事くらい!なんでそんなこともわかんないのよ!」
言ってることが、滅茶苦茶だ。
ただの八つ当たりなのに。
でも、これが今言いたいことなんだと知った。
「何で簡単に他の女が触るのよ・・・。嫌だよ、湊。私だけに優しくしてよ。我が儘だって、わかってるけど」
わかってる。
私の我が儘だって事くらい。
「いつも傍にいたい。怖いよ・・・好きに、なり過ぎて」
「時雨・・・」
「いつか湊がいなくなるんじゃないかって、そればかり考えるの」
「時雨」
「私以外の誰かの方がいい、って。そう想うんじゃないか、って」
怖い。
好きになり過ぎて。
他の人のところへ行くんじゃないか、って。
泣くつもりなんて、なかったのに。
感情が涙で溢れる。
苦しいよ。
「ただ、好きなだけでいたい。自分がこんなに嫉妬深いなんて、知りたくなかったよ」
「時雨」
「こんな私、見られたくなかった。でも傍にいたいの。どこにも、行かないで。私の傍にだけ、いて――――」