だから私は雨の日が好き。【冬の章】※加筆修正版
どうしようもないことを言っている、とわかってる。
ただの我儘で、ただの子供みたいな独占欲で。
重くて、面倒で、邪魔なものなのもわかってるの。
それでも、これが私の本音なのだと。
伝えたかった。
湊に。
泣いたまま湊の胸に抱きついた。
力の入らない湊の腕に、今までにないほど距離を感じた。
声を上げることも出来ずただしゃくりあげる私の背中を、湊は優しくさすってくれた。
私を抱える優しい腕の感覚が、同情なのか愛情なのかわからなくなって、私をもっと苦しくさせた。
息が出来ないよ。
でも、声も上げられない。
何か言ってよ。
こんな私にうんざりしたなら、そう言って。
中途半端に優しくされると、その分辛くなるだけだから。
お願い。
何か、言って。
「もう、いい」
一言。
湊の言葉が響いた。
やっぱり感情のない声。
『もう、いい』。
それは終わりを告げる言葉に聞こえて。
湊の表情の無い顔が私を拒絶しているように見えた。
こんなに簡単に終わってしまう筈がないと、何度も何度も想ったけれど。
湊にとっては、こんなに簡単に言えることだったなんて。
湊の『もう、いい』という言葉が、私には『疲れた』に聞こえた。
ごめんね、苦しくさせてばかりで。
ごめんね、こんなにも好きになりすぎて。