だから私は雨の日が好き。【冬の章】※加筆修正版
「でも、時雨に怒っていたのは本当」
泣きじゃくったまま湊の目を見る。
瞳の中だけで、問いかける。
どうして、と。
「会社の仲間が、時雨たちのことを可愛いって騒いでた。話しかけたら笑って応えてくれた、って。それで見てみたら時雨だったから。俺だって想うよ。なんで、って。」
話しかけられた?
そういえば、そんなこともあったかも。
優希が話していたからあまり憶えてないけれど。
「優希ちゃんが応えたんだろうな、って思ったけど。それでも、同じだよ」
「湊も、同じ・・・?」
「そう、同じ。嫉妬もすれば、不安にもなる。時雨は俺以外の人を知らないから。他の人の方がいいのかな、って想う」
湊も、持っていた。
私と同じ気持ちを。
知らなかった。
私の好きが大きすぎて、湊には負担なだけだと想ってた。
「母さん達に認めてもらってこれから先の約束をしても、好きだから不安になる。こんな、俺でいいのか、って」
そうだったんだ。
湊もそんな風に想っていてくれたなんて、考えもしなくて。
同じ気持ちでいてくれたんだということに、また目頭が熱くなった。