だから私は雨の日が好き。【冬の章】※加筆修正版
驚いて顔を上げると、あまりに色っぽく笑う湊に少しだけ怯んだ。
けれどその顔が綺麗過ぎて、何をされても構わないなんて想ってしまった。
見たことのない顔で笑う湊を見て、胸の奥が大きく高鳴っていた。
――――――こんな湊、知らない――――
もう一度、湊に恋をしてしまったみたいに。
初めて湊を好きだと自覚した、あの夏の日のように。
この人をとても、いとしいと想った。
「どうしよう、湊」
「ん?」
「知らない湊、見つけちゃった」
「・・・嫌いになった?」
「ううん。前より、好きになっちゃった」
湊はさらに深く微笑んで、私の唇に柔らかいキスをくれた。
その感触があまりに優しくて、私は真っ赤になって俯いた。
「僕にも見せてよ。まだ見たことのない、時雨が見たい」
「――――っ!そんなの、わかんないよっ!」
「ははっ。そうだよね。でも、それでいいよ」
「なんで?」
「僕が、見つければいいよ」
湊は、とても幸せそうにもう一度私を抱き締めた。
腕から、そのぬくもりから。
全身で告白をされている気持ちになって、とても恥ずかしかった。
それと同時に、幸せだった。