だから私は雨の日が好き。【冬の章】※加筆修正版
「一緒に見つけようよ、お互いの知らなかった相手を」
「それは、本当の自分ということ?」
「そう。本当の自分を、お互いを受け止められる存在になりたい」
この人を受け止められる存在に。
なれるのならば、私は今すぐになりたい。
ありのままの私を受け止めてくれた湊のために。
まだまだ大切にしてあげられないけれど。
いつか、私が傍にいてよかった、と。
そう想ってくれる存在で、ありたい。
「きっとなれるよ。だって、こんなに湊のこと好きだもの」
そうだね、と言って湊は笑っていた。
結局、喧嘩にならない喧嘩だったけれど、私達はお互いのことを見つけた気がした。
その日、私は初めて湊の頭を抱えて眠った。
私の胸に顔を埋める湊は、とても幸せそうな顔をしていた。
いつもこんな風に私のことを見ているのかな、と想うと少しだけ恥ずかしい気持ちだったけれど。
これもまた『初めての湊』だなと、幸せを噛み締めていた。
風花は静かに降り続けていた。
一つ一つの欠片は小さく儚いけれど、降り続ける強さを持っていた。
あんな風に、私たちの気持ちも積もっていけばいいのに。
そんな願いを込めて窓の外を見つめ、私もゆっくり目を閉じた。