だから私は雨の日が好き。【冬の章】※加筆修正版

「『いい』って俺が言ってんだから、問題無いだろ？」


「でも・・・っ！」


「それがお前の傍で生まれる感情なら、それでいい」


「そんな・・・」


「どんなに辛くても、一緒にいられるってことだろ？」




そんなことを言われてしまったら。

何も、反論出来ないことを知ってるくせに。


圭都は照れることもなく、真剣な声色で私にその言葉を伝えてくれた。




「辛かったことは、一生忘れない。ってことは、一緒にいたことさえ忘れないでいられる、ってことだ」




一緒にいたことさえ、忘れない。

それが、この人の幸せ？




「時雨といられる以上の幸せが、どこにあるんだよ」




――――こうして僕の腕の中に時雨がいるんだ。

それ以上に必要なものなんてないよ――――




湊。

私は何度同じ間違いを繰り返せば、正しく行動することが出来るのだろう。

相手を思いやることも大切だけれど。

もっと大切なことがあるのだと、教えてくれた貴方に謝らなければいけないね。




「・・・そうだよね」


「ん？」


「圭都の傍にいたいよ」


「――――っ――――」


「圭都のことが、大切だから」


「――――っ、お前なぁ・・・」




簡単なことだった。

『本当の自分』を伝えてあげるだけでよかったんだ。


そうだよね、湊？