だから私は雨の日が好き。【冬の章】※加筆修正版
ただ、目の前の人は違う。
絶対的な強さを持って此処にいる。
揺るがない何かを、どうやってその中に持っているのか。
今はまだ分からないけれど、この人の隣にいればきっと私も変わっていける。
そんな気持ちになった。
繋がれている手に、ぎゅっと力を込めた。
同じ力で握り返してくれる冷たい手が、私を包んだままだった。
覚悟を。
決める時なのかもしれない。
顔を上げて圭都を見つめる。
湊のような儚さが、この人にはない。
けれど、湊と同じ優しさがこの人にはある。
「もう、誰にもいなくなって欲しくない」
そう言うと、圭都は驚いた顔をしていた。
私は懇願するように、その顔を見つめ続けた。
「一人で立っていたはずだった。でも、本当はからっぽだった。でも今は圭都がいて、それに私は支えられてる」
「しぐ・・・」
圭都の口にそっと右手を当てた。
するりと抜け出した手は、冷たい空気触ってすぐに熱を奪われる。
「もうひとりぼっちは嫌だよ。私の・・・時雨の前から、いなくならないで」
圭都に当てた手は小さく震えていた。
冷たさと不安で。
唇から熱を奪うように、私はその手を離せずにいた。