だから私は雨の日が好き。【冬の章】※加筆修正版
たった三ヶ月前。
この人は私を受け止めてくれた。
きっと、ずっと前から。
この人は私を受け止める準備を始めていたのだろう。
迷ってばかりの私の気持ちを、迷いのない圭都が包んでくれる。
だから、こんなにも心地いい。
湊の姿を重ねては、湊ではないのだと知る。
圭都の中に生きている湊を見つける度に苦しくなる。
それと同時に、嬉しくもなる。
それは決して私だけが感じているわけではない。
大切な人の想い出を共有出来ることは、簡単なようで難しいのだ。
だから苦しく、嬉しい。
その感情を分け合うことが出来るから、私達は共に生きていけるのだと気付いた。
湊を誰よりも愛していた。
今だって変わることなく想い続けている。
もう二度と、逢うことも触れることも叶わないけれど。
それでも今、圭都を『愛している』と言えるようになった。
大切に想っていることを、伝えたいと。
そう、想ったから。
そんなことわかっている、と、私を抱き締める腕に少しだけ力が入る。
その腕の強さに、同じ力を返していた。
窓の外の雪は、静かに止んでいた。