だから私は雨の日が好き。【冬の章】※加筆修正版





――――――――――――――……
―――――――――――――……




「部署のみんなは、櫻井君の気持ちなんてお見通しだったから」




水鳥さんは買ってきたサンドイッチの包みを開けながら、私に向かって言った。

パソコンの前に座ってはいるが、食べている間くらい手を休めよう、と提案してくれたのだ。




「そうだったんですね。なんか、びくびくしながら報告した自分が恥ずかしくなりました」


「シグもなんとなく気が付いていたでしょう?自分が、『櫻井君のお気に入り』だってこと」


「まぁ・・・、そうでなければいいな、なんて想ってましたね」


「シグが気付くくらいだもの。これだけ近くで見てれば嫌でも気付くわよ」


「ソレ、どういうことですか?ちょっと傷付くんですけど・・・」


「言葉のままよ。シグは鈍感だから」




鈍いと言われるけれど、そこまで言われるなんて少し心外だった。

ただ、ここで何か言い返しても相手は水鳥さんなので敵う訳がないと、諦めながらサンドイッチにかぶりつく。

野菜をたっぷりにしすぎたせいで、少し食べづらくなってしまった。




「でも、私はてっきり森川君もだと思ってたんだけど。気のせいかしらね」


「――――ブッッ!ゴホッッ!!ん゛ーっっ!!」




< 156 / 358 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop