だから私は雨の日が好き。【冬の章】※加筆修正版
――――――――――――――……
―――――――――――――……
「部署のみんなは、櫻井君の気持ちなんてお見通しだったから」
水鳥さんは買ってきたサンドイッチの包みを開けながら、私に向かって言った。
パソコンの前に座ってはいるが、食べている間くらい手を休めよう、と提案してくれたのだ。
「そうだったんですね。なんか、びくびくしながら報告した自分が恥ずかしくなりました」
「シグもなんとなく気が付いていたでしょう?自分が、『櫻井君のお気に入り』だってこと」
「まぁ・・・、そうでなければいいな、なんて想ってましたね」
「シグが気付くくらいだもの。これだけ近くで見てれば嫌でも気付くわよ」
「ソレ、どういうことですか?ちょっと傷付くんですけど・・・」
「言葉のままよ。シグは鈍感だから」
鈍いと言われるけれど、そこまで言われるなんて少し心外だった。
ただ、ここで何か言い返しても相手は水鳥さんなので敵う訳がないと、諦めながらサンドイッチにかぶりつく。
野菜をたっぷりにしすぎたせいで、少し食べづらくなってしまった。
「でも、私はてっきり森川君もだと思ってたんだけど。気のせいかしらね」
「――――ブッッ!ゴホッッ!!ん゛ーっっ!!」