だから私は雨の日が好き。【冬の章】※加筆修正版
思いもよらない水鳥さんの発言に思わず咽てしまった。
澄ました顔で私を見つめながら、水鳥さんは楽しそうに笑っていた。
目の前のペットボトルの水を一口飲んで、口の中のものを流し込む。
サンドイッチを頬張っている最中だったことが幸いして、口から何かを吹き出すことがなくて本当によかった。
「森川はそんなんじゃないですよ!仲のいい同期です!」
全力でそう言うと、水鳥さんはもぐもぐと口を動かしながら少しだけ首を傾けた。
いつも相談に乗ってくれる森川。
支えてくれる優しさは、男友達の中で最も信頼する友人としてのもの。
「森川君もかなりポーカーフェイスじゃない?だから、シグにも分からないんじゃないからし?」
「水鳥さん。だてに同期じゃないんですから、あのポーカーフェイスくらい読み取れますよ」
「でも、シグには上手く隠しそうね」
「なんで私に隠す必要があるんですか」
「シグの負担にならないため?」
「負担?」
「そう。好きになった人に対しては一途で優しい。自分の気持ちを押し殺してでも、相手にとって一番いいことを考える、って感じ」
「・・・確かに、そうですね」
水鳥さんは本当によく見ている。
森川と二人で飲んだこともないのに、よくそんなに内面まで見ているものだ。
感心の眼差しで水鳥さんを見つめると、じっと目を合わせてくる。