だから私は雨の日が好き。【冬の章】※加筆修正版





感傷的な気分は、引越しの作業の中に消えていった。

結局、こうして切り替えられる自分は上手く出来ている、と思う。



作業は着々と進み、私も荷物の梱包を手伝った。

食器の詰め替えだとか、解体した家具の下の掃除だとか。


荷物を運び出してくれる男の作業員の人が二人と、私と一緒に細々したものを片付けてくれる女性のスタッフが一人。

とても感じのいい方で、昔近くに住んでいたおばさんを思い出す。




「沢山食器があるのねぇ。私の家と変わらないんじゃないかしら?」


「そうですか?実家にあって使わないようなもの、ほとんど引き取ってきたんですよね」


「あら、いいわね。これだけあったら、このままお嫁にいけそうね」




ほほほ、と声高に笑った声に、なんだか安心してしまった。

二人で一緒に作業をしながら色々な話をした。



おばさんは六人家族で、息子さんと娘さんが一人ずつ。

旦那さんの両親と同居をしているらしい。


娘さんが今年の春に大学を卒業するらしく、来月はその引越しを手伝うのだそうだ。

息子さんは遠くに住んでいて、年に二、三回しか会えない、と言っていた。




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