だから私は雨の日が好き。【冬の章】※加筆修正版
ベランダの外は冷たい空気だったけれど、よく晴れた青空が広がっていた。
天気のいい空は、少しだけ悲しい気持ちにさせる。
青が広がり過ぎている。
「私は自分の子供しかいないから、そのお母さんの気持ちはわからないけどね・・・」
目が痛いくらいの青を見上げながら、おばさんが言った。
そうですよね、と弱気な声が口を突いて出た。
申し訳なさが、より積もっていく。
「でもね。気持ちは私と一緒だと思うわよ」
にっこりと笑うおばさんは、一度私を見てすぐに空に目を戻す。
快晴の空は気持ちがいい。
私は、そんなに好きではないけれど。
「親がどんなことを思っていても、子供には伝わらないことの方が多いの。逆に、子供の思いを上手に汲み取ってあげることも、親には出来ないのよ」
そういうものなのだ、と妙に納得してしまった。
私には、親の気持ちがわからないから。
「それでもね。どんなことがあっても、それはその子の人生だから、思うままに生きるのが一番だと思うのよ。誰かに決められたものではなくて、自分の意思で。そうして、最後に『幸せ』って言えたら、それでいいと思うの」