だから私は雨の日が好き。【冬の章】※加筆修正版





ベランダの外は冷たい空気だったけれど、よく晴れた青空が広がっていた。

天気のいい空は、少しだけ悲しい気持ちにさせる。

青が広がり過ぎている。




「私は自分の子供しかいないから、そのお母さんの気持ちはわからないけどね・・・」




目が痛いくらいの青を見上げながら、おばさんが言った。


そうですよね、と弱気な声が口を突いて出た。

申し訳なさが、より積もっていく。




「でもね。気持ちは私と一緒だと思うわよ」




にっこりと笑うおばさんは、一度私を見てすぐに空に目を戻す。

快晴の空は気持ちがいい。

私は、そんなに好きではないけれど。




「親がどんなことを思っていても、子供には伝わらないことの方が多いの。逆に、子供の思いを上手に汲み取ってあげることも、親には出来ないのよ」




そういうものなのだ、と妙に納得してしまった。

私には、親の気持ちがわからないから。




「それでもね。どんなことがあっても、それはその子の人生だから、思うままに生きるのが一番だと思うのよ。誰かに決められたものではなくて、自分の意思で。そうして、最後に『幸せ』って言えたら、それでいいと思うの」




< 188 / 358 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop