だから私は雨の日が好き。【冬の章】※加筆修正版
「想いの強い人だけが、そうして幸せを掴めるのよ。おばさんは、そう思うわ」
想いの強い人だけが。
自分の気持ちが真っ直ぐならば、ママにもわかってもらえるだろうか。
いや。
今すぐに分かって貰うことではないのかもしれない。
私が『幸せ』だと。
そう胸を張って言えた時に、わかってもらえればそれでいい。
私の人生なのだから。
にっこりと笑った私を見て、おばさんは小さく頷いた。
そして、仕事をしなくちゃ、と言って部屋の中に戻って行った。
その背中を眺めて、私は少しだけ息をついた。
前よりも素直に相談できるようになったものだな、と思って。
言葉にするのは今でも苦手で、想ったことがすんなり出てくるわけではない。
けれど、溜め込むことが少なくなってきているような気がした。
湊に甘やかされていた、あのいとしい時間。
そして、圭都に甘やかされている、今。
この二つの時間が、私の心を弱くした。
それと同時に、人に言葉を伝える大切さを私に与えてくれた。
弱さは自分の中で変えられる。
自分の道を作るのは、自分自身なのだ、と。
そんな簡単なこと。
それを思い出させてくれたおばさんに、本当に感謝した。