だから私は雨の日が好き。【冬の章】※加筆修正版
家から病院まではそう遠い距離ではないけれど、雨の雪道を運転するのは怖かったのでタクシーで向かうことにした。
お昼間だというのに、なんだか部屋の中が暗い。
色味がない部屋は気分まで寒くしてしまいそうだった。
湊が帰って来た時に寒いといけないので、部屋のストーブを消さずに出かけた。
小さく火をつけたままのストーブは鈍いオレンジ色をしていた。
タクシーを呼んで到着を待つ間、私はリビングの窓の前に座り込んでいた。
湊は、最近よく体調を崩している。
一緒に寝るようになってからは、寝起きの顔で調子が悪いのがわかるくらいだ。
寝ている時、辛そうに顔を歪めることもある。
そんな時そっと頭を撫でてあげると、眉間に刻まれた皺がなくなるのだ。
ほんの一瞬のことでも、私の手で辛さがなくなるのなら。
いつまでも撫でていてあげたかった。
最近は寝ている間にしっかりと私を抱き締めていることが多くなった。
朝起きると湊はいつも先に起きていて、私の胸に顔を埋めて寝ているフリをする。
湊の動きで、ついさっき起きたのか、それともずっと起きていたのかくらいは、すぐにわかるのに。