だから私は雨の日が好き。【冬の章】※加筆修正版
「話してくれてありがとう。大変だったわね」
「いえ、そんな。それより、こんな話をしてしまってすみません・・・」
「いいのよ」
そっと、水鳥さんは言った。
私を見つめるその目はとても優しく、とても温かかった。
「聞いて欲しいことがあったら、いつでも言いなさい。二人とも、私にとっては大切な後輩なんだから」
水鳥さんの笑顔が、私たちの気持ちをとても軽くしてくれた。
湊のことも、圭都のことも、私のことも。
色々な事情があって、色々な想いがあって。
それを受け止めてくれる人。
「櫻井君の相談癖も、シグのやせ我慢も。その気持ちが軽くなるなら、いつでも話くらい聞くわよ」
やっぱり水鳥さんは、とても素敵な人だと思った。
考えていることを見抜かれてしまうけれど、そこにはいつも優しさが見え隠れしている。
見透かされていることさえ、安心を与えてくれるためなのだと分かるやり方で。
「二人で相談したら、水鳥さんが大変なんじゃないですか?」
意地の悪い顔で圭都が笑う。
それでも、どこか嬉しさが滲んでいることに、私も水鳥さんも笑っていた。