だから私は雨の日が好き。【冬の章】※加筆修正版
「わかっていることがあるなら、教えて。それで、ちゃんと検査してもらおうよ。なんか変だよ、湊」
どんどん問い詰めるように言った私の言葉に、湊は少しずつ顔を歪めていった。
その表情が曇るたび、私が湊を傷つけている気がして涙が出そうだった。
何の反応もしてくれない湊から、そっと手を離してベッドを降りた。
湊はちらりとこちらを見ただけで、静かにベッドに横になった。
窓の外は雨が降っていた。
風がない雨は規則正しく、その音だけが二人の間をすり抜けていった。
「ごめん」
湊は自分に繋げられた点滴を見ながら、言い訳をするように呟いた。
その声に、私は何も言ってあげることが出来なかった。
ただ零れそうになる涙を、必死に我慢していた。
「本当に、大したことはないんだ。最近忙しく仕事をしてたから、疲れがたまったんだと思う」
感情のこもらない言葉が降ってくる。
どの言葉を拾っても、その中に湊が見えなかった。
どうずることも出来ず、私は俯いたままでいた。
子供じみた抵抗だと知っていても。