だから私は雨の日が好き。【冬の章】※加筆修正版
「そうねぇ・・・」
楽しそうに笑った水鳥さんは、そっと目線を私に向けた。
「その時はきっと、シグの味方をするわ。女の子が幸せになれるかは相手次第ですもの」
「いいですよ、それで」
「あら、自信満々ね。面白くないわ」
「俺がそうさせなきゃいいだけの話です」
「え?」
「俺が時雨を悩ませたり、困らせたりしなければいい、ってだけの話ですよ」
そっと、圭都が私の手を取る。
掴まれた右手は、骨ばった冷たい圭都の左手に強く握られていた。
「そうだろ?」
「えっ、あぁ。多分・・・」
「湊の代わりに出来ることを、やっと見つけたんだ」
「何・・・?」
「お前を守ること。お前を大事にすること。一人になんてしねぇよ、ずっと」
湊がいなくなったことを受け止められなかった。
それは、自分が一人ぼっちになってしまったのだと想っていたからだ。
何があっても湊が私を守ってくれていた。
それが、とても大変なことだと知らずに。
今は此処にいない湊。
けれど、その代わりに見守ってくれていた人がいることを知った。
こんなにも近くで、こんなに大切にしてくれていたなんて。
知らなかった。
知らなかったんだよ。