だから私は雨の日が好き。【冬の章】※加筆修正版
向き合わなければ気付けかったことが、こんなにも増えていく。
今を受け入れることは、見えていなかった優しさに触れることなのだとわかった。
それは、立ち向かう苦しさと同じだけの優しさを持っている。
「こんなに大切にされていたんですね」
「そうみたいね。素敵なことだわ」
「ほっとけないじゃないですか、コイツ」
「酷いですね。でも、その通りなんだと想います。私はいつまで経っても甘えたで、守られてばかりだから」
動揺して下を向いてしまったけれど、気持ちは不思議と落ち着いていた。
自分の言葉が重苦しい空気を連れてくる。
「・・・誰も、一人で強くなれるわけではないのよ」
「あぁ、そうだ。強がることと強くなることは違う」
「はい、それもわかった気がします。守られていたおかげで強がっていられるし、強くなれるんだと知りました。みんなが支えてくれるから、頑張っていられるんだと」
自分の気持ちの整理を出来た気がした。
湊のカケラはまだまだ探すことが出来る。
それを大切にしている人は沢山いるのだ、と気付いた。
水鳥さんと圭都の笑顔が、それでいいんだよ、と言っていた。
その優しさに、また胸が熱くなった。