だから私は雨の日が好き。【冬の章】※加筆修正版
ずっと悩んでいた。
どうすればいいのか、いつも堂々巡りで答えなんて出なかったもの。
どうするべきかずっと迷っていたけれど、今日決心が着いた。
それを、圭都に伝えたいと想った。
上手く伝えられるかどうかが大切な訳ではない。
何もかも伝えようと努力することが、大切なのだと気付いたから。
「圭都」
「ん?」
やっと言葉を発した私に満足そうに笑っていた。
その顔は、私を安心させるには十分過ぎる顔だった。
「明日、一緒に行って欲しいところがあるの」
「あぁ、いいよ。それで、どこへ?」
私の右手を、今度は自分の頬に寄せた。
そっと包むようにして圭都に触れる。
思ったより冷たい圭都の頬は、圭都が緊張していることを教えてくれた。
「私の実家へ」
真っ直ぐ見つめたまま、迷いのない言葉で届けばいいと想った。
あそこに帰ること。
それは私にとって、とても大切な意味を持っていた。
まだ湊の気配のするあの場所は、私には苦しい場所だから。
そしてそれは、圭都にとっても同じ。
出来ることなら逢わずに済んだ方がいい人が、そこにはいる。
圭都を苦しめることだと知っていても、私はどうしても圭都を逢わせたかった。
大切な人がいるから。
お父さんも、ママも。
そして、きっと。
湊も。