だから私は雨の日が好き。【冬の章】※加筆修正版
「ちゃんと、言うから。一人暮らしをやめること。そうした方が、いいと想ったの」
圭都は何も言わない。
私から目を逸らすこともない。
揺れている瞳を、私はとても綺麗だと想った。
「逢えるかどうかは分からないけど。いつも連絡はしないで帰るんだ。でも、きっと夜には帰ってくるはずだから」
この時期は二人にとってとても忙しい時期だけれど、夜には一度帰ってくると思う。
夜勤さえ入っていなければ大丈夫だ。
圭都と一緒にいるようになって、五ヶ月。
たった五ヶ月しか経っていないけれど、私にはその五ヶ月がとても長かったように想える。
まだ先のことはわからないけれど、一緒にいられる努力はしようと想う。
それが、私を支えてくれる圭都のために出来ることだと想うから。
「・・・俺と?」
「圭都と」
そっと、言った。
圭都と一緒に行きたいのだと。
そのことが、どんな意味を持つかを。
もう知らない年齢じゃない。
それを承知で圭都にお願いをしているのだ。
圭都はそっと、私を起こす。
ソファーの上で向かい合うようにして座るように促された。
両手は握られていた。
掴まれているのは私のほうなのに、圭都に私の熱が移ればいい、と想いながら手を離さずにいた。