だから私は雨の日が好き。【冬の章】※加筆修正版
その夜。
私は、少し落ち着かない夜を過ごした。
中々眠ることが出来ない私を尻目に、私を抱き締める圭都はすやすやと眠っていた。
寝ぼけて腕に力が入る度、少しだけ寂しさが募った。
湊以外の人と一緒にいることを、こんなに簡単に決めてしまった。
これでよかったのか。
今の私にはわからない。
でも、こうして少しずつ変わっていけることが、大切なのだと想いたかった。
傍にいればいるほど、湊のカタチが薄れていく。
それでも一緒にいた事実だけが残る。
想い出ばかりが巡る。
その感覚は上書きされていってしまうのに。
ねえ、湊。
一緒に過ごしたあの夜を。
今でも、
憶えてくれているのかな。
笑ったその顔が、
嬉しそうなその声が、
包まれていたその腕が。
やっぱり、
いとしくて仕方がないよ。
それでも。
前に進めると想ってた。
それでも。
大切に出来ると想ってた。
真っ白な世界は、
私をまた、
ひとりぼっちにさせていく。
圭都の傍にいるのに、
どうしてか、
ひとりぼっちだと感じた。
こんな風に訳もなく、
湊を想い出す時瞬間が。
とても寂しいと想った。