だから私は雨の日が好き。【冬の章】※加筆修正版
この部屋へは今日来たばかりで。
新しい生活が、ここから始まるのに。
この人を大切にしようと、想えば想うほど。
甘えることしか出来ないなんて。
理由も訊かずにただ優しくしてくれる。
そんな圭都が、いとしくてたまらない。
明日どんなことが待ち受けていても、私はそれを受け止めなくてはいけない。
それは圭都も同じなのだろう。
始まりは、終わりをつれてくるのだと知っている。
けれど。
その終わりまでの時間がどれだけ残されているのか。
今の私はそれを知らない。
そして、今は。
それを知っていても、圭都といるこの時間を大切に出来る気がする。
本当のことを言えば。
私はきっと、怖いのだと想う。
大切だった人はいなくなってしまった。
今大切な人は『ずっと一緒にいる』と約束してくれたけれど、離れていってしまうこともあるだろう。
私を大切にしてくれた人を、深く傷つけることもあるのかもしれない。
そんなことばかりが巡っている頭の中を、整理するのは無理そうだった。
全ては、明日。
迫りくる時間の音に少しだけ怯えながら、圭都をぎゅっと抱き締めて眠った。