だから私は雨の日が好き。【冬の章】※加筆修正版
「お前、なんでわかったのか不思議なんだろ?」
「・・・当たり前じゃない。だって、圭都ぐっすり眠ってたもの」
「お前、寝て間もない時は俺の方を向いて寝るんだよ。俺にくっついてる、みたいに」
「それだけ?」
「あぁ、それだけだ」
たったそれだけのこと。
けれど、それほど私のことを知っているということ。
――――どうして、そんなことを?――――
そんな私を見抜いて、圭都はクスクスと笑っていた。
いつもこうして私の考えを先回りしてしまう。
会社で見慣れた意地の悪い顔をこういう時には見たくない、と心底思った。
「いつもしっかり寝に入ると、お前反対を向くんだ。だから朝は大抵、後ろから時雨を抱えてるだろう?」
そう言われれば、そうかもしれない。
朝起きるといつも圭都の腕が私に巻きついている。
比較的ぴったりとした距離で。
「その度に想うんだよな。・・・結局片想いかよ、って」
意地の悪い顔はそのままだけれど、目の中が少しだけ寂しそうに揺れた。
私は、寝ている間の動きなんて直しようのないものを指摘されて、何も言えなくなってしまった。