だから私は雨の日が好き。【冬の章】※加筆修正版





玄関の鍵が、がちゃりと音を鳴らす。

扉はまるで私の気持ちのように重くて、少し苦しくなった。

扉の先には懐かしい景色が広がった。



少し広い玄関ホール。

奥のバスルームに続く廊下。


右側には、お父さんとママの寝室のドア。

左側にはリビングとキッチンに入るドアが一つずつ。



そして二階へ続く階段。

二階には、私と湊の部屋がある。




「どうぞ」




そう言って圭都を家の中へ促す。

圭都は小さく頷いて、玄関に自分の靴を綺麗に並べた。

お客様用のスリッパを用意して、二人でリビングに向かった。



久しぶりに入ったリビングは、昔と全く変わらない様子でそこにあった。

変わったことと言えば、テレビが薄型になりビデオデッキがDVDレコーダーに変わったことくらいだ。

テレビの横にあるオーディオセットは、以前と同じようにそこにある。



圭都をソファーへ案内して、私はお茶を入れるためにキッチンへ向かう。


その時、オーディオセットの横の棚が目に入った。

その棚はガラスケースのような棚で、以前は沢山の紅茶やカップが並べられていた。




けれど、今は違う。




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