だから私は雨の日が好き。【冬の章】※加筆修正版
一緒に帰り一緒にご飯を食べる事が日に日に増えていく。
仕事も圭都と一緒にすることが多く、よほどのことがない限り別々に帰ることはない。
例え別に帰ったとしても圭都は会いに来てくれる。
この安心感を、今はとても心地よく思っているのも確かだった。
ただ一つの問題を除いては。
お試し期間二ヶ月。
付き合い始めて一ヶ月。
私と圭都は驚くほど『清いお付き合い』をしている。
一緒にご飯を食べて一緒に寝ている。
そんな日々は付き合いだしてからは毎日のことだ。
それに何の違和感もない。
けれど、圭都は私に触らない。
抱きしめてキスをくれるだけ。
触れ合うことをしない圭都に、さほど疑問を感じない私もいる。
大切になってきたからこそ簡単には触れられない距離にいるのかもしれない。
お互いの微妙な距離感は、きっと私が埋めなくてはいけないのだろうな。
そんなことを考えながら、圭都の背中を追いかけてオフィスを後にした。
見慣れた背中は今でも切なさを連れてくる。
人ごみをすり抜ける間、手も繋がずにそっと背中を見つめていた。
雪が降ったり止んだりを繰り返している。
もうすぐ今年も終わる。