だから私は雨の日が好き。【冬の章】※加筆修正版
結局、湊はあっさり外泊許可を取り付けた。
お父さんは困った顔をしながらも『湊には敵わないな』と言って病室の外に出てきた。
私は二人が話している間、病室の外にいて欲しいと言われて、ナースステーションに程近い休憩所に座って待っていた。
お父さんが湊を止めてくれると思って安心していたので、私は愕然とした。
「時雨、一泊二日で湊に外泊許可を出すから。明日の朝、湊を迎えに来てくれるかい?僕も美佳(ミカ)も明日は日勤だから、早く帰れるようにする」
美佳とはママのこと。
いつまでも恋人のようなこの二人を、私はとても素敵だと思う。
二人は恋人であり、最愛の人を亡くした同志だから。
けれど、今はそんなことを考えている場合ではなかった。
どうして湊に外泊許可を出してしまったのか。
それをお父さんに詰め寄らないわけにはいかなかった。
じっとお父さんを見つめて、立ち上がる。
私のその顔を見て、お父さんは困ったように笑った。
「どうして許可だしちゃうのよ!!何かあってからじゃ遅いでしょう!!お父さんが一番わかってるじゃない!!」
病院内だということも忘れて私は猛抗議をした。
ナースステーションの看護婦さんが、驚いて私達を見ている。
そんなことに構っている暇はなかった。