だから私は雨の日が好き。【冬の章】※加筆修正版
短日月..タンジツゲツ
次の日は静かに雨が降っていて、私と湊はタクシーに乗って家まで帰ってきた。
月曜日だったが私は湊を迎えに行くために学校を休んだ。
家のリビングで湊が大きく伸びをする。
ソファーの上でいつものようにくつろぐ湊を見て、私はとても嬉しい気持ちになった。
テレビの横にあるオーディオのスイッチを入れる。
雨の音と混ざるように静かに音楽をかけた。
「湊、何か飲む?」
「あぁ、今日は僕が淹れるよ」
そう言ってキッチンに向かう。
その背中は前と何も変わらず、昨日不安に想っていたことが考えすぎだったな、と安心した。
湊は手際よく準備をして、薬缶からはボコボコとお湯の沸騰する音が聴こえた。
今日は何を淹れてくれるのかなと見に行くと、そこには珍しいものが用意されていた。
「牛乳?」
「そう、牛乳」
キッチンの上には牛乳パックが置いてあり、薬缶のかけられたコンロの上には小さな片手鍋が乗せられていた。
紅茶の缶がなくて首をひねっていると、棚の中から湊は楽しそうな顔をして小さな缶を取り出した。