だから私は雨の日が好き。【冬の章】※加筆修正版
「もしかして・・・、もう予約してたりする?ついでに、お父さんたちにも伝えてる、とか・・・?」
嬉しそうににこにこと笑うばかりの湊に、『その通りだよ』と言われている気分になって少しがっくりした。
「嬉しいな」
湊は小さく呟いて私の後ろに回りこんだ。
そして、後ろから私を抱きしめて耳元で囁いた。
「僕の顔を見ただけで、そんなことまでわかったの?」
湊の悪戯は今に始まったことではない。
前にも何度もあったことだ。
私を喜ばせるための、湊なりのプレゼント。
いつも驚かされてばかりだけれど、これほど嬉しいことはないと想っている。
「もう慣れてきたよ。いつもそうなんだから。湊は私を驚かせてばかり」
「その顔が見たくてしょうがないんだ。僕が時雨を喜ばせている、って顔」
呆れた顔だったはずの私の表情は、いつの間にか柔らかい笑顔になっていた。
湊が私のことをいつも考えてくれているようで、こういうサプライズはとても嬉しい。
どんなに呆れても、結局は楽しみになってしまうのだった。
「楽しみだね」
そう言うと、満足そうに私を包む腕に力を込めてくれた。