だから私は雨の日が好き。【冬の章】※加筆修正版





「もしかして・・・、もう予約してたりする?ついでに、お父さんたちにも伝えてる、とか・・・?」




嬉しそうににこにこと笑うばかりの湊に、『その通りだよ』と言われている気分になって少しがっくりした。




「嬉しいな」




湊は小さく呟いて私の後ろに回りこんだ。

そして、後ろから私を抱きしめて耳元で囁いた。




「僕の顔を見ただけで、そんなことまでわかったの?」




湊の悪戯は今に始まったことではない。

前にも何度もあったことだ。

私を喜ばせるための、湊なりのプレゼント。


いつも驚かされてばかりだけれど、これほど嬉しいことはないと想っている。




「もう慣れてきたよ。いつもそうなんだから。湊は私を驚かせてばかり」


「その顔が見たくてしょうがないんだ。僕が時雨を喜ばせている、って顔」




呆れた顔だったはずの私の表情は、いつの間にか柔らかい笑顔になっていた。

湊が私のことをいつも考えてくれているようで、こういうサプライズはとても嬉しい。



どんなに呆れても、結局は楽しみになってしまうのだった。




「楽しみだね」




そう言うと、満足そうに私を包む腕に力を込めてくれた。




< 27 / 358 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop