だから私は雨の日が好き。【冬の章】※加筆修正版
今年のクリスマスは、湊が忙しくて結局一緒に眠るだけになってしまった。
イベントごとにあまり執着がない湊は特別気にしていないようだった。
私は少しだけ寂しい気持ちになっていたけれど、我が儘を言うのが嫌で何も言えなくなってしまった。
「クリスマスが忙しくなりそうだったから、必ず休める年末に一緒にいたかったんだ」
私の頭の中を見透かすように湊はそう言った。
その言葉に驚いて、後ろを向こうと身体を向ける。
それにあわせて腕の力が少し力が緩んだ。
「気にして、くれてたの?」
湊をじっと見つめて言うと、驚いた顔をしていた。
「気付かないわけないと想うけど。忙しかったけど言いたいことくらい言っていいよ。我慢しないでいいから」
湊は優しい声でそう言って、私の頬に自分の頬を寄せた。
頬擦りする柔らかさが、なんだか恥ずかしさを連れて来た。
「だって、忙しいのがわかってたから。一緒に眠れるだけで嬉しいと想ってたよ」
本当に、そう想っていた。
此処にいて、この腕があるだけで。
一人で冷たいベッドに眠らなくていいということは、何より私を幸せにしてくれた。