だから私は雨の日が好き。【冬の章】※加筆修正版
「ママ・・・かな」
綺麗に掃除されたこの場所に、頻繁に来ているのはママ以外にはいないだろう、と思った。
この白いキャンドルは、湊がママと選んでくれたものだから。
「そうか。でも、なんで?」
「さぁ。何かあったのかな」
思い当たる理由が見つからなくて私は曖昧に返事をした。
手の中にあるこのキャンドルが、ママにとってどんな意味があったのかわからなかった。
圭都と二人で部屋の中をうろうろと物色していた。
本棚の中の本を眺めて、たまに手にとって開いてみる。
よく考えると湊と今の私達は同業種だ。
参考に出来る本は沢山あった。
二人で物色しながらも仕事の話をする私達。
どこまでいっても仕事バカは仕事バカなのだ、と思って笑った。
本に見入っている圭都は、机の椅子に腰掛けていくつかの資料を取り出していた。
その様子を横目に、私はベッドに腰掛ける。
窓と向かい合って外を見る。
天気が良かったはずなのに時折雲が太陽を隠す。
夕方には雪が降るだろうなと、どこか確信めいた感覚があった。