だから私は雨の日が好き。【冬の章】※加筆修正版
鍵...カギ
「私の部屋にも、入ってみる?」
「もちろん」
私に手を引かれて湊の部屋のドアへ向かう。
ドアを出て、一度部屋の中を振り返る。
そのままの部屋は私の心を静めてくれた。
そこは時間が止まっているように見えて、しっかりと年月が過ぎていることを感じさせる部屋だった。
――――――『ちゃんと前を向いて』――――――
そんな風に背中を押してくれる気配がして、それを閉じ込めるように扉を閉めた。
自分の部屋は私が出て行った時のままだったので、物が多くごちゃごちゃしていた。
クローゼットの中身や簡単な家具は一人暮らしの家に運び込んだので、私の部屋にも必要最低限の物しか残ってはいなかった。
「どうぞ」
そう言って圭都を招き入れる。
小さい頃から使っている学習机を見つけて、私はそっとそれに触れた。
圭都は物珍しそうに、私の部屋をきょろきょろと見回していた。
「・・・意外だな」
「でしょ?私だってそう思うよ」
圭都の言葉に心からの同意を込めて、私は言った。
部屋を見回して、そういえばこんな風だったな、と懐かしく思った。